幅を決める
設計がDIYの中で最も重要で時間がかかる工程になります。特に家具など長く使う物は後で後悔しないように、使い勝手や生活導線を意識しましょう。まずは幅について考えていきます。
生活導線を考える
我が家のリビングの間取りの場合、テレビ台を設置する位置のすぐ隣にリビングと玄関をつなぐドアがあります。
収納は大きいに越したことはないだろうし、当初は下図のようにドアに当たらない程度に作れば問題ないと考えていました。
できるだけ幅は広めの方が収納増えて良さそうだな・・
しかし、じっくり寸法について考えてみました。
すると思いあたる大きなデメリットが一つありました!人間というものは悲しいもので、足の小指の現在位置に対する認識能力が低いのできっとせっかちな僕はぶつけてしまうだろうと考えました。
想像するだけでも痛いあのぶつけ方ですよね(泣)
こりゃ小指がいくつあっても足りねえな。。
こういう細かい寸法にこだわりたい時こそDIYの利点を最大限に発揮できるんです!
今回は左足の小指を守るため、敢えて少しドアから離した寸法にする事にしました。
おかげで完成後、数年間足の小指を強打する事なく過ごせていますよ。
皆さんも、もし僕と同じような位置にテレビ台や棚を置きたい時は、生活導線というか、足の小指導線に注意してみてください(笑)
実際に歩いてみて小指の位置を確認しよう!
棚のマスの大きさを決める
今回は無印に売っているようなシンプルな格子状のテレビ台を作りたかったのですが、その時の1マスの大きさを決める必要があります。個人的には正方形が好みですが、今回はあの商品を参考にする事にしました。
ニトリの3段ボックスです。
3段ボックスのサイズを参考にするくらいなら、3段ボックス買うほうが早いんじゃないか?
そう思う方もいるかと思いますが、今回はテレビ台ということで長く使うものなので、しっかりとした木を使い、部屋の雰囲気になじむようにしたかったのです。そしてもう一つ大きな目的があります。それは・・・
3段ボックスの大きさにつくることで、市販のオプション品を使える!ということです。
ニトリやホームセンターでも3段ボックスにぴったり合うように設計された手頃な価格のかごやボックスが売られています。
子どものおもちゃ等を収納しようと思っていたので、かごは市販品を利用しようと考えたのです。
今回はニトリのバスケット ムスカ レギュラー というカゴを買うことにしました。
棚の奥行きも大体このカゴが収まるサイズにします。
オプション品のかごは結構おしゃれで手頃価格なものが売ってますからね。DIYと市販品をうまく使い分けよう。
材料を決める
概ね幅や1マスの寸法は決まったので、それに合わせて高さもかごが収まるサイズに決まります。次は材料の選定に入ります。なぜここで材料になるかというと、厚みが寸法に影響してくるからです。
事前に木材をホームセンター等に確認しに行き、好みの木や厚みを見ておきましょう。
材質は、加工性がよく歪みの少ないパイン集成材を使いました。
パインは松の事で、集成材とは無垢の一枚板と違い、複数の木を貼り合わせた物という意味です。
無垢と異なり、貼り合わせや継ぎの部分が見えますが、個人的にはこの風合いも好きです。
そして1番のメリットとしては、反りがあまりないことです。棚等を作るには反りによる寸法狂いも少なく適正な材料かと思います。また殆どのホームセンターでも入手できるという事もメリットのひとつです。
事前にホームセンターで見ていた材料で、25mm厚の材料を使用する事にしました。18mmでも強度的には問題ないですが、僕は頑丈に作るのが好きなので、25mmくらいの厚みが好みです。
具体的な部品の寸法を決めるため、まずは平面の図面を描く
簡単に図面を描こう。まずは基本的な考え方から
簡単で良いので図面を描きましょう。一気に奥行まで考えるとややこしくなるので、まだ奥行きは無視して説明していきますね。
注意点としては図面を描き終わったあと、それぞれの数字に矛盾がないか確認することです。特に多いのが板厚分の寸法を足し忘れて完成した時に外径や収納部のサイズがずれてしまうことです。どういうことか見てみましょう。
例えば横3マス、縦2マスの6マスの棚を作りたいとします。わかりやすいように1マスのサイズは縦横ともに300mmにしましょう。(日常生活ではcm単位が一般的かと思いますが、図面を描くときは基本的にmm単位が基本になります。)
板厚は20mmとしましょう。棚の幅は何mmになるでしょうか?まず頭にはこんな形を思い浮かべると思います。
幅の寸法は、横3マスだから3×300mm+板厚も同じく3枚×20mm!
合計960mmになるな。計算ミスも無いし完璧!
確かに計算に間違いはないですが、これで正解でしょうか?
気づいている方も多いとは思いますが、完成を急ぐあまり、すでに失敗への道を進んでしまっています!
もし上の計算に違和感を感じなかった方は下図を見てみましょう。横は3マスだから3×300mmは正解ですが、板厚は4枚あるので、4×20mmが正解ですね!
早く作りたいがために急いで作るとこういう失敗をやってしまうんですよねぇ。
せっかちな僕はやりがちです・・・
ですから皆さんも本当に簡単でいいので図面を描いてくださいね!
焦って設計して材料を買うと足りない事が多いんだ。気を付けよう。
寸法の決め方について
次の例は材料の寸法に関する注意点です。
例えば板厚20mmの材料で高さ、幅共に300mmの正方形の棚を作ろうとした時、材料はどう切るでしょうか?
正方形なので、まずは下図のように考えますよね。
これはもう間違いなく300mmの板を4枚切って固定すれば完成でしょう!
はい!これも間違いになるんですねぇ。下図の2通りのように、板厚を考慮すると高さ方向と幅のどちらかは板厚を差し引く必要があります。
なるほど。正方形でも材料の長さは縦と横で変わるんだな。右と左では外径は同じだけど、違いはある?
これには見た目の差もあるため、正解はないのですが、個人的には右側が好みです。
天板の部分が側面の板にしっかり乗っているので、耐荷重に余裕が出るからです。
逆に左側の場合、天板部分は固定しているネジだけで支えることになります。
小物を置くだけなら問題ありませんが、うちのテレビ台はわんぱくな子供が乗ることもありますし、
僕も高所の作業時に少し乗る事もありますが、右側の作り方をしているのでびくともしません。
余談ですが、この考え方をもとに、下図のように設計することでテーブル作りにも活かせますね。
どうですか?シンプルな形状でもいざ作ろうと思ってみるといろんな注意点があるでしょ!
こういう失敗と出費を経て慣れていくんですが(笑)、
ちなみにですが、ここでは説明するために上記のような図を頑張って描いていますが、実際にDIYする時は思いっきり雑な手描きです(笑)
別に描くのはシャーペンでもボールペンでもいいんですが、僕は製図用のシャーペンを使ってます。またおすすめはグラフギア500の0.7mm芯です。紙に字を書くだけでなく、材料にも線を描きやすいですよ。これはまた別の記事で紹介しましょうかね。
奥行き寸法を決める
ホームセンターで手に入る材料のまま使用するとコストと時間削減になる
もちろんDIYなのでカットすれば自由な設計ができますが、まずは売っている材料がそのまま使えるか確認しましょう。ホームセンターではカットしてくれるサービスがありますが、有料の場合が多く、一定以上の長さはカット出来ない事もあります。なによりそのままの寸法で使える場合、手間が減りますので時間的なメリットもあります。
ただ、もちろん必要な場合は僕もカットサービスを率先して利用していますし、何より専用の器具でカットするので直角の精度は間違いないでしょう。
僕はまず奥行の寸法を決める際にニトリのバスケットを使用するのを前提としていたので、こちらの奥行よりもやや大きいサイズにする事にしました。
奥行は270mmなので、材料の奥行は300mmくらいが良さそうです。ホームセンターで確認するとちょうど300mmのものが売っていたのでこちらを採用することにしました。これで奥行方向(材料でいう幅)は無加工で使えますね。ネットでは下記のような材料を見つけました。
必要な部品の長さを合計し、購入する材料の長さを決める
まずは部品の長さを個別に洗い出してみる
ニトリのバスケットが6個入るように1マスの高さを250mm、幅を400mmで作る事を優先した結果、下図のようになりました。左に幅175mmのマスがありますが、手持ちのスピーカーが丁度入りそうなのと、テレビ台の幅が丁度1500mmになるのでこの形を採用しました。
ではこの設計では板はいくついるでしょうか?番号を振ってみます。
このように8枚になりました。
②③④と⑦は交差してるけど、上下で分割しないでいいのかな?
はい!②③④と⑦は交差させて組み立てるように設計します。②③④を上下で分割するとネジ止めが困難なので、相欠き加工して、組み合わせます。そのほうが強度も出ますからね。
下図のように切り欠きにしてはめるのが相欠きです。
必要な材料は全部でこれだけ
必要な部品がすべてわかれば、いよいよホームセンター等に買いに行きましょう。
この時、奥行きはそのままですが、幅方向の長さはカットサービスを利用します。
一般的に材料は長いほうがお買い得なので、できるだけ長い材料を買って複数回カットして必要な部品長さにするほうが安く済みます。また、カットサービスは②③④のように同じ長さにカットする精度が高いです。
やっと必要な部品が出揃った。ここまで考えるのに時間がかかったな。でもいざ作り始めると進みは早いのでもう少し!
まとめ
設計が一番時間のかかる工程だけど焦らず考える
週末の限られた時間でここまで進めるのにイメージしてから実際の寸法を決めるまで何日もかかります。
しかし、材料を買ってきたあとはほとんど1日で完成することが多いです。それだけ事前の準備が重要な工程になりますので、皆さんも完成品をイメージしながらゆっくりと考えてみてくださいね!
次回はカットから組み立てまでの工程を紹介していきます!
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